愛の物語を書くことについて

愛についての物語を書いていますと言うと
「いったいお前ごときが愛の何を知っているというのか。なんと傲慢な!」
と言われることがあります。

 

愛の物語を書くこと

確かにわたしはマザーテレサではありませんし、ましてやイエス・キリストでもブッダでもありません。ごくありふれた、どこにでも居るだろう衆生の一人です。
いえ、それどころか、愛についてはとても心貧しい人生を送っている一人であり、未だに愛を模索し、試行錯誤し続けている一人です。

そんな人間がなぜ愛を描こうとするのか。
なんてずうずうしいヤツなんだと思われるのも無理からぬことなのでしょう。

でも、わたしは逆のことを考えます。

愛について書く意味

自分が生きてきた日々の中で、愛と言うものがわからないからこそ、それについてずっとずっと考え続けてきた、のだと。そして、もしこの世にわたし同様に、そのことについて悩み苦しむ人がいるならば、わたしの言葉はその人に何かしらの役に立つのではないか、たとえそれがほんのわずかな、芥子粒のようなものであったとしても。これまでわたし自身が、書物と言う形の、古今東西の同胞が語り掛けてくる言葉によって慰められ、励まされてきたように。

愛は「愛」という言葉でしか言い表しようのない、とても大きく深い概念だと感じます。
何か別の言葉でそれを語り出した途端に、たちまちに本質から遠く離れて行ってしまうような存在です。
それでも、その愛という光の中のほんの小さな一粒、わずかな一瞬の輝き、それを物語の中に書き記すことで、何かを誰かに届けることができるかもしれない、と、そう信じています。

スピリチュアル・ファンタジー・シリーズ②「火の門」あとがきより~


シオンの夢の種

Posted by shion