出版業界の現状を見てきました

先日、とある中堅どころの出版社の「出版セミナー」なるものを覗きに行ってきました。

書棚

セミナー講師役の編集者氏が仰るには、

「良い本を売ろう、ではなく、売れる本が良い本だ、というのが今の風潮」

だそうで、そういう傾向は消費者側の価値観が原因だ、と言う主旨の話でした。

なるほどね。出版人としての気概なんていう言葉はやはり、とっくに死語になっていたんですね。
ここにもまた、あの、「生産性」だの「効率」だので物事を測ろうとする経済最優先社会構造とそれに伴う価値観が見て取れる気がしました。

でも、そもそも文化とかアートといった、心や精神に関わることって、そういうものでしたっけ?

物事の存在価値は「売れるか売れないか」で決められるはずもない。
愛情や友情、思いやり、人生の智恵、信頼・・・どうやってそれを測る?どうやって売り買いする?

本に値段をつけるな、と言いたいのではありません。
売らなくていい、と言っているのでもありません。
売れるかどうかがすべての尺度になるのはヘンだよね、と言っているだけです。
現在すでに構築されてしまっている日本の出版流通システムでは、他にやりようがないのでしょう。

その点、電子書籍なら、今すぐにそうした制約を軽々と超えることができます。

印刷不要、在庫不要で、出版にかかる経費が極端に小さい。
なおかつ、広くあまねく伝えることが出来ます。
情報だから劣化することもなく、先の時代まで残していくことも簡単です。

そもそも書籍(文字)って「情報そのもの」なので、デジタルとの相性がいいですよね。
いいどころか、それこそが本質だと思います。

だから、今、電子書籍の持つ可能性に夢中なんです。

むつら星通信

Posted by むつら星